岩本和子 魔睡 森鴎外の原作本
原作にアプローチ
帰省がてら実家に向かう新幹線の中で「鴎外近代小説集 第一巻」を読む。この中に単行本未収録作品として『魔睡』が掲載されている。短編なのですぐに読破できる。
原作で描かれているのは、主人公の心の葛藤である。主人公が自分の大学の後輩の医師と自分の妻が不貞関係になっているのではないか、(原作では)妊娠している妻の本当の父親は誰なのか等々、悶々としながら、出張の汽車の中で物語は終わる。主人公は、自分が抱いている悩みや疑念の落としどころを最後まで探っているようだ。それが杞憂であってほしいと願っているように読み手には伝わってくる。
物語のラストに登場するのが、主人公が汽車の中で読むであろうとされる『トリスタンとイゾルデ物語』。これにはいささか驚いた。この作品、2006年に映画化されていて前職でDVDの発売を担当していたからである。もちろんこちらも原作と映画は多少違う。主人公は、原作のオチでもある道ならぬ2人の関係の"貞操"を証明するものに心のよりどころを求めるのだろう、と締めくくられている。
『魔睡』の主人公=森鴎外と想像できるので、当時の鴎外の苦悩をにじませた短編小説なのだが、映画はその苦悩をエロスに転化して映像でアプローチしている。その分、主人公に感情移入はしにくいが、原作より妻にフォーカスしたことで、その美しさを映像表現することには成功していると感じた。
■映画『トリスタンとイゾルデ』

岩本和子さんの衝撃の逮捕劇
そんな中、主演女優である岩本和子さんが19日に熱海で逮捕されるという知らせを、当ブログへのコメントで知ることに。驚きましたね。かなり…。
19日は、もともと写真集のイベントが組まれていましたが、少し前に体調不良を理由に中止のアナウンスがありました。ただ、17日の映画の初日の舞台挨拶には来ていたので、いったいこの間、何があったのでしょうか。
伏線はありました。彼女のSNS上で危険を察知させるようなコメントが続いて、その内容からアカウントの乗っ取りなのか、本当に異常なストーカーに付きまとわれているのか、はたまたご本人の身体やメンタル面の疲れによるものなのか…真実はわからないまま一連のコメントは消去されたので、事態は収束に向かっていると思っていた矢先の事件でした。前兆があっただけに、なぜ防ぐことができなかったのかという思いもあります。
外形的には、写真集やDVD発売、舞台や映画デビューなど彼女の活動は順調に見えました。もちろんファン側からは見えない裏側のご苦労やバックグラウンドにある様々なことが原因なのでしょうが、"さあこれから"というところでのフェードアウトは残念です。
これが、しばしのお別れなのか、永遠のお別れになるのか。この1年、彼女が颯爽と駆け抜けたのが幻影のようなものだったのかと思うと、少し切なくなります。