追悼ロジャー・ムーア
ロジャー・ムーアの死。89歳。歴代007シリーズの中で日本で最もヒットしたのが彼の主演作『私を愛したスパイ』である。
007の中でも最も娯楽の王道を極めていた時代。私が学生時代にどっぷりハマったMTV人気と相まってヒットしたデュラン・デュランを主題歌に擁した『美しき獲物たち』などが特に好きでした。主題歌のミュージックビデオが映画本編とアーティストのミックスでとても凝って作られていたのが印象的です。
前職で007シリーズのDVD、ブルーレイのマーケティングを10年担当していたので思い出は尽きません。
また田舎にいた頃は、当時、ボンドを演じている彼が出演した『キャノン・ボール』のインパクトが忘れられません。なんせその当時のジャッキー・チェンとロジャー・ムーアが同じ映画に出るなんて!!という豪華さと新鮮さがありましたから。映画館に行きましたが、2人ともチョイ役というかゲスト出演。でもそれだけで良かったのです。
一時代の終わり。さみしい限りです。
キムタク映画はどうなったのか
興行的な結末がどうなったのかだけが気になった『無限の住人』。とにかく、えげつないほどの番宣ならぬ映宣が繰り広げられるのは目に見えていたから…これだけ宣伝して露出して本当にヒットにつながるのか??今のキャスト中心主義的な作品のパフォーマンス(メディアによる興行的な動員力がどれだけあるのか)を知りたかった。
SMAP解散後の木村拓哉が今後の活路を最初に見出したのが映画。オリジナル脚本ではなく、原作ありきの人気コミックの映画化に飛びついた。配給はワーナー。監督は三池崇史。GW公開のシーズナリティも悪くない。まずは「石橋を叩いて渡る」戦略だ。
当ブログでも何度か書いたことがあるが、Vシネ時代の三池さんのハングリーさやエネルギーは、メジャーの商業映画では感じることは無くなってしまった。今は、予算と期間を守って手堅くパパッと作ってしまう便利なクリエイターという印象。なので記憶に残る作品がほとんどない。それが気になった。
さてジャニーズ事務所の威光と圧力のもと、NHKから民放キー局、地方ローカル局まで『無限の住人』PRラッシュ。同時期にTVで始まった『貴族探偵』のプッシュもしていたから書店の雑誌コーナーの表紙がジャニタレで覆いつくされていて正直気持ちが悪かった。日本の芸能文化は、ここまで多様性を失っているのかと…ある意味、心配にもなった。
まあメディア側からすればジャニーズ事務所にとりあえず義理は果たした(できるだけのことはやりましたよ…的な)という気持ちだろう。
洋画の宣伝担当なら、これだけのメディア露出を獲得して、媒体費換算してレポートすれば、間違いなく「GJ!(グッド・ジョブ)」で評価されただろう。興収に関係なく、自分の担当領域はしっかり実績を作ったのだから。
ところがジャニーズの邦画はどうだろう。配給会社や製作委員会の誰が、事務所に対して今回の矢面に立ったのだろうか…コケた原因を無難にまとめて、言い訳を考えて作る。嫌な仕事だ。
さて、結果をサマリーしたい。
『無限の住人』…4週目でTOP10圏外。最高位6位。興行収入8.6億円。ブロックブッキングの時代ではないので、きっちり5週興行では終わらないと思うが、10億円前後の結果で終わるのではないだろうか。
木村拓哉の前作『HERO』が46.7億円。最初の『HERO』(2007年)が81.5億円。
80億円 ⇒ 40億円 ⇒ 10億円という興収のレンジで彼の主演作品は推移しているので直近では75%ダウン、最盛期からは88%ダウン。彼のマーケットでの価値は大きく下がっているのがわかる。
まったく同じ日の公開だった『帝一の國』(東宝)は、4週目で14.3億円。『無限の住人』の1.6倍の結果を出している。こちらの方が『無限の住人』よりスクリーン数が13%ほど少ない。
もはや勝負ありか。
ワーナーやジャニーズが本当に100億円のヒットを狙っていたのかどうかは定かではない。
ただワーナーとしては三池作品で配給した『藁の楯』(18.3億円)は超える算段だったのかなと思う。20億円あたりを超えると少し勢いがついてその上が見えてくるだろうし。20-30億円で推移していたら、赤字でも"大コケ"とは書かれないだろうし、カンヌ映画祭のPRネタも多少効果はあっただろう。
ヒットしなかった原因…。残念だが「観たいと思う映画」ではなかった。殺陣とか百人斬りとか千人斬りのカタルシスにフォーカスするなら、『あずみ』とか勝新太郎の『座頭市』で十分だし、バイオレンスなら『いつかギラギラする日』とか三池さんの『DEAD OR ALIVE』という佳作がある。そもそも原作がアニメ化されているので、リアリティでは原作に近いアニメに敵わないのだ。
同時期の競合作品と比べて絶対的な引きがない作品だった。なので王道のディズニー映画や定番アニメのように筋が一本通った作品に観客が流れてしまう。結果、GWというシーズナリティさえネガティブに働いた。そんな気がする。
本作でも真に面白い部分がどこかにあるはずだ。だがそれがメディアの"提灯記事"によって消されてしまう。尖がった面白さならカルト作品として長らく生き続けることも有る。ただそれは事務所的にはNGなのだろう。
いつまで制服を着るのでしょうか

『君の名は。』や『シン・ゴジラ』のようなメガヒット、スマッシュヒットが毎年生まれるわけではない。
「映画は水物」と言われながらも安定して邦画が稼げているのは、一つは定番のアニメ作品、もう一つは純愛学園映画があるからである。
純愛学園映画は、今の邦画のトレンド。朝ドラなどで顔が売れた役者が「制服を着ても違和感がない」うちは何本でも主演にして作れ、とばかりの勢いで製作している。
吉野家の牛丼ではないが「早い・安い・うまい」に似ていて「早く作れて、製作費も安い。結果利益率が高くなり、当たると美味しい」企画である。
この分野は、東宝が先導して当てて、もうそろそろピークアウトするだろうというタイミングで後発の松竹や東映などの他社が参入。結果どうなったかと言えば、20歳を過ぎた俳優が制服を着て高校生を演じる作品が多発。別に役を演じるのだからいいとは思うのだけれども、未成年の役で映画公開中は、並行してアルコールのCMに出るのだけは止めよう。これだけは守るべきコンプライアンスではないだろうか。
明大後輩の山本美月さんも25歳で高校生役。CMクイーンなので日本酒のCMにも出ている。
ブームのピークアウトと書きましたが、製作費的なリスクが少ないので、本当に稼げなくなった…と実感するところまではこの純愛学園ものはしばらくは続くでしょう。急にはなくならないはずです。
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