
アメリカのアカデミー賞のエンターテイメントとしての豪華さ、素晴らしさ、そして作品選定におけるフェアネスを見るにつけ、「日本アカデミー賞」なる“アカデミー賞”の名をいみじくも語るこの“持ち回り”(東宝・松竹・東映3社による)イベントの酷さに毎年辟易する。いろいろ調べてちゃんと書こうかななんて思っていたら、きちんと考察した素晴らしい記事があったのでこちらを紹介します。
日本アカデミー賞の存在理由――北野武監督の批判と岡田裕介会長の反論
松谷創一郎 さんというライターの方が書かれていて、データによる検証、映画賞の中では“良心”と一部では位置づけられている「キネマ旬報ベストテン」との比較などもきちんとされていて非常に興味深い記事になっています。詳しくは、この記事を読んでいただくとして・・・しかしまあ、『永遠の0』を選んでしまうところが、放映局の日本テレビ(読売系)らしいというか、いまだにこんな“戦争礼賛”作品にまた光を当てているところが、現政権にすり寄っている感が凄くて幻滅しかり。しかしハリウッドのように反戦映画の傑作が賞レースで評価されるのはいいとして、戦争肯定色の強い作品を選んでしまう日本アカデミー賞の選定レベルはひどい。太平洋戦争の頃、戦意高揚映画が何本も作られたみたいだけど、まさに自民党がバックアップすれば各社がこぞって作りそうな予感。3社が“はやぶさ”の映画を作ったみたいに…
賞にノミネートされたほとんどの作品がメディアミックスでTV局を中心としたメディアや広告代理店が噛んでいる。ただTV局の色が付きつぎている作品(『テルマエ・ロマエ�供戮箸�『相棒�掘戮覆�)は、はなから外されている。もし良質のいい作品なら、これもある意味変だ。
どうせなら、音楽の「ゴールドディスク大賞」(かつての)みたいにヒットしたアーティスト(握手券の売り上げじゃないからね…)にフォーカスするがごとく、ヒットした作品の実写部門とアニメ部門(今の邦画はアニメなくして成立しないから)に分けて、上位5作品をエントリーして総合評価して決めればいい。そうすれば、壇上には、ほぼ東宝関係者とTV局の面々、ジャニーズとアミューズの2大プロダクション関係者が並んで、今の邦画業界がどれだけ歪な構図になっているかわかりやすくていいのではないか。
邦画製作が製作委員会方式のメディアミックス型になって、かつてのように映画会社ごとのスタジオ製作ではなくなった今、良質の映画とヒットした映画とは別物になっているので、日本アカデミー賞なるものの役割は終わったとみるべきだろう。
てなわけで、興収別の上位5本を見てみよう。
<実写部門>
� ̄扮鵑�0 87.6億円(東宝)
�△襪蹐Δ坊�心 京都大火編 52.2億(ワーナー)
��テルマエ・ロマエ�供�44.2億(東宝)
�い襪蹐Δ坊�心 伝説の最期編 43.5億(ワーナー)
�ゥ曠奪函Ε蹇璽鼻�24.7億(松竹)
<アニメ部門>
��STAND BY ME ドラえもん 83.8億(東宝)
�▲襯僖鷸粟ぁ�vs 名探偵コナン THE MOVIE 42.6億(東宝)
�L消議絅灰淵� 異次元の狙撃者(スナイパー) 41.1億(東宝)
�け撚茱疋蕕┐發鵝/掘Δ里啾世梁臻盒� 35.8億(東宝)
�セ廚そ个離沺璽法次�35.3億(東宝)
残念ながら、壇上には東映さんは呼ばれません。こうみると松竹の『ホット・ロード』は健闘したんですね。
ワーナーは、ハリウッドメジャーの会社の中では古くから邦画の企画製作に参入して、試行錯誤しながら地道にノウハウを蓄積して、ここのところヒットを出すようになってきている。
さて私的に選んだ「大賞」は、3Dと新作アニメ合わせて、120億円弱を稼いだ「ドラえもん」ですね。
「敢闘賞」は、なんとか意地を見せた松竹の『ホット・ロード』。
「記録に残って記憶に残らなかったで賞」は、『永遠の0』『STAND BY ME ドラえもん』の山崎貴監督。
結局のところ、これら10本はどれも原作があるものばかりでオリジナル脚本作品は皆無。実写作品は、原作に合わせて旬なタレントを起用して(またはタレントありきで、原作をあとからくっつける)、あとはメディアミックスによる大量宣伝と刷り込みで動員するという手法。こうなるとノウハウで独走する東宝の独壇場という当たり前の結果となってしまう。この流れは、しばらくは変わることはないだろう。
恥ずかしながら、この10本、私、どれ一つ見たい作品がなかったので、ついに見ることなく終わりました。
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