善き人のためのソナタ
先週から今週にかけてBS/CSでオンエアしていたのでチェックしました。『善き人のためのソナタ』は、2007年に公開された作品。この時は映画関係の仕事に携わっていたので注目していた作品の1本でしたが、残念ながら未見のまま終わってしまい、ようやくの"出会い"となりました。
『善き人のためのソナタ』(2006年)

<第79回アカデミー賞(R)外国語映画賞受賞>
■スタッフ&キャスト
出演 : ウルリッヒ・ミューエ、セバスチャン・コッホ、マルティナ・ゲデック
監督・脚本 : フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク
■作品紹介
旧東ドイツで反体制派への監視を大規模に行っていた秘密警察“シュタージ”。本作はこのシュタージ側の人間を主人公に、統一後も旧東ドイツ市民の心に深く影を落とす“監視国家”の実態を明らかにするとともに、芸術家の監視を命じられた主人公が図らずも監視対象の考え方や生き方に影響を受け、新たな人生に目覚めてしまう姿を静謐なタッチでリアルに描き出す感動のヒューマン・ドラマ。主演は自身も監視された過去を持つ東ドイツ出身のウルリッヒ・ミューエ。監督はこれが長編第1作目となる弱冠33歳の新鋭フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク。
 1984年、壁崩壊前の東ベルリン。国家保安省(シュタージ)の局員ヴィースラー大尉は国家に忠誠を誓う真面目で優秀な男。ある日彼は、反体制的疑いのある劇作家ドライマンとその同棲相手の舞台女優クリスタを監視し、反体制の証拠を掴むよう命じられる。さっそくドライマンのアパートには盗聴器が仕掛けられ、ヴィースラーは徹底した監視を開始する。しかし、音楽や文学を語り合い、深く愛し合う彼らの世界にヴィースラーは知らず知らずのうちに共鳴していくのだった。そして、ドライマンがピアノで弾いた“善き人のためのソナタ”という曲を耳にした時、ヴィースラーの心は激しく揺さぶられてしまうのだったが…。(allcinemaより)
■コメント
FOXチャンネルでオンエア、吹き替え版を鑑賞。ドイツ映画なので吹き替えの方が、じっくりと観ることができました。さすがアカデミー賞(R)外国語映画賞受賞作品だけあって、評判通りの良作でした。138分という長尺を感じさせず、用意された"ラスト"も感動的です。社会主義国や独裁国家にあるような"監視国家"の実態がとてもリアルで怖さを感じます。今の日本も監視化が進んで結構危険だとは思いますが、敗戦国である東ドイツが戦後も反体制派を監視して、不都合な真実や芸術・文化の流布に神経質に網をかけていた事実に改めて脅威を感じました。とりわけ社会主義国家は資本主義国家の文化や経済のニュースで自国民が感化されることを恐れているのが良くわかります。秘密警察“シュタージ”のエリートである主人公が、芸術や人の心の機微に触れることで少しずつ変わっていく心の変化と行動がとてもスリリング。自分の取った行動により閑職に追い込まれ、その過程でベルリンの壁の崩壊を迎えて、ひっそりと暮らす主人公。ふと出会った一冊の本によって、アイデンティティを取り戻すラストは胸を打ちます。
『バニラ・スカイ』(2001年)

■スタッフ&キャスト
出演 : トム・クルーズ、ペネロペ・クルス、キャメロン・ディアス、カート・ラッセル
監督/脚本/製作:キャメロン・クロウ
■作品紹介
アレハンドロ・アメナーバル監督によるスペイン映画「オープン・ユア・アイズ」に惚れ込んだトム・クルーズが自らリメイク権を取得、製作に漕ぎ着けた作品。監督は「ザ・エージェント」でもトムとコンビを組んでいる「あの頃ペニーレインと」のキャメロン・クロウ。完璧な人生から一転、悪夢に見舞われた男の混乱と苦悩を描く異色サスペンス。本作での共演がきっかけとなりトムとペネロペ・クルスはプライベートでも恋が芽生え話題に。
 マンハッタンの豪邸に住み、高級車を乗り回し、おまけにハンサム。完璧な人生を謳歌する出版界の若き実力者デヴィッド・エイムス。ジュリーという美しい恋人もいて、何不自由ないはずが、どこか物足りなさを感じていた。そんなある日、デヴィッドは親友の恋人ソフィアに一目惚れしてしまう。しかし、デヴィッドの心変わりを敏感に察したジュリーは、嫉妬に駆られて自ら運転する車でデヴィッドとともに崖に突っ込んでしまう。奇跡的に一命を取りとめたデヴィッドだったが、その顔は怪我のために見るも無惨に変わり果ててしまう……。(allcinemaより)
■コメント
※追記

10月2日にもBS日テレにてオンエアがありました。その前のBS12のオンエア版と比べるとこちらの方が画質が良い印象です。BS12版は粗くてDVD版といった感じですが、BS日テレ版はBlu-ray版といった印象です。ただ字幕が入るべきところで抜けている場面がいくつかありましたね。
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BS12でオンエア。この作品、私の契約しているチャンネルではあまりオンエアされず、HD素材での録画ができないままでした。Blu-ray購入も考えたのですが、どうも画質が粗いという印象で今回のオンエア版もざらついた感じが強かったと思います。描き絵のような"バニラ・スカイ"のイメージをクリアに出したくないという製作者の意図なのかどうか、今後の4K版のリリースがあるのかどうかも含めて注目していきます。
公開からかれこれ20年。トム・クルーズも若いし、ペネロペ・クルスも可愛くてキュート。トム・クルーズが彼女と共演したくて本作に熱心だったのも頷けます。劇場で鑑賞しましたが(もちろんその時はオリジナル版は未見)、その時は何の映画だったのかあまり理解できないままシアターを後にしたのを覚えています。最初は主人公の"高所恐怖症"を克服するために特別なプログラムを仕組んだお話なのかなあ・・・なんて思ってましたが、その後DVDを何度か観直して考察を重ねて好きな1本になりました。本作や『マルホランド・ドライブ』もそうですが、「現実」と「非現実(本人の妄想や夢の中等)」の境目にしっかり気づいていくのが妙で、ともすれば「わけのわからない映画」になりがちなのを掘り下げていくのが面白い作品なのだと思います。先日、映像関係の仕事に携わっている知人と話したときに、最近の若者は"大どんでん返し"系や"わけのわからない"映画は敬遠するとのこと。なぜかと聞くと「不安になるのが嫌だ」ということで、予定調和の作品が好まれているそうです。私のような世代からみると映画がつまらなくなっている理由の一つかなと思いますが、『映画秘宝』のような本が無くなってしまうのがわかめような気がします。
作品については現実と非現実のつなぎ目に注目して観ると楽しめると思います。死んでから150年後に蘇る主人公はその後どんな人生を歩むのでしょうか。
おまけ : 『バトルランナー』(1987)

テレビ東京の「午後のロードショー」でオンエアしていたので、とりあえず録画しました。画質や吹き替えがどんなものか確認するのが目的でしたが、玄田哲章バージョンでしたね。ただラストのシュワの台詞は「大ヒットだ」だったので私の好きな「ド派手なやつだぜ」ではなかったことを確認。昼間のオンエアのせいか、囚人が逃げる際に首の爆弾が爆発するシーンなど、残虐シーンの一部がカットされていました。何度も繰り返して観てしまう中毒性のある作品ですが、自分が年を取ったせいもありB級感が強くて少し退屈に感じました。おそらく前述のシーンのカットも影響しているものと思われます。
映画の舞台は近未来ですが、2017年の設定。ただ、メディアが支配されていること、情報操作や隠ぺい、改ざん、貧富の差の拡大など今起こっていることをしっかりと予見していた作品でもあります。
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