なぜ君


毎日暑い日が続きます。"自粛慣れ"してしまっていますが、ここまで暑いと思考停止してしまいます。
気分転換も兼ねて、昨日映画を観に行きました。隣駅にあるキネカ大森へ。コロナ対策上、席間隔が空けられていて前後も重ならないように配慮されていました。飛沫リスクの少ない最後列の席をネットで予約しました。
観た作品はドキュメンタリー『なぜ君は総理大臣になれないのか』。衆議院議員小川淳也(現在は無所属、立憲会派)の2003年の初出馬から2020年春までを追ったノンフィクション。彼は、ここ何年かで最も期待している政治家であるけれども、存在を知ったのもごく最近のこと。素晴らしい資質とポリシーを持っていながら、なぜこれまで目が出なかったのか。映画を観ると、彼の不器用とも言えるまじめさ以外に、「比例復活による当選議員は党内での発言力が弱い」ということと彼が「前原グループ」に属していたのもその理由だと思った。彼の選挙区には、地元メディアの四国新聞のオーナー一族の息子である自民党の三世議員がいて、これまで選挙区で彼に勝ったのは一度(民主党が政権を取った選挙のとき)だけ。前回の選挙も僅差で敗れて比例区で復活。前原グループに属していたため、希望の党設立のゴタゴタの際に、立憲民主党から出馬することができなかった。苦渋の中、希望の党から出馬(前原などは見捨てて立憲から出れば良かったのに、そのしなやかさが彼にはないのが逆に良いところでもあるのだが)、のちに希望の党は解党して国民民主党になったが、彼は参加しなかった。
2003年の初出馬のときの若さ・爽やかさ・清廉さは、ジリジリと肌に突き刺ささる真夏の日差しのように心に刺さります。また、17年間の取材は、家族のストーリーを紡ぎます。ごく普通の家庭の優しい両親。お父さんが達観されている方でとても面白い。「政治も選挙も猿芝居、いや猿の方がうまい」というのは言い得て妙。優しいお母さんと良妻賢母を絵に描いたような奥さん。初出馬の時は小さかった娘さんが成長して「娘です」というタスキをかけて一生懸命選挙を手伝っている。逆に両親は健在ながらお年を取られた感じ。でもいつも息子のことはよくわかっていて、最大の理解者であることに変わりはない。
希望の党から出馬するとなって彼の顔から笑顔が消えて、苦渋に満ちた日々が後半描かれる。最後の最後まで結果がわからなかった選挙戦はスリリングであり、小選挙区制の弊害もみた感じです。のちに希望の党が解党され、無所属を選んだ彼の顔に少し笑顔が戻っていた感じで、安堵。またまだやることはありますからね。2時間ほどの作品でしたが、テンポよく引き込まれました。政治的なメッセージが強い作品ではないので、政治や選挙に関心のない人にも響くドキュメンタリーだと思いました。コツコツと全国で公開されていて、コロナ禍のもとで動員が2万人を超えたとの事。隠れたスマッシュヒットです。