
ここ半年くらい、現実逃避的に観ている映画が3本。
いずれも父親とのキャッチボールのシーンがあり、うち2本は自分より若いころの父親と出会う映画。つまりファンタジーが入っている。
自分が年を取ると、なぜ父親の若いころを想うのだろう?
『ゴッドファーザーPART�供戮任皀泪ぅ吋襪�若き頃の父(ビトー・コルレオーネ)に思いを馳せる。家族と組織で苦悩したとき、父はどのように乗り切ってきたのだろうか。家族には優しかった父のその強さと偉大さに自分を投影して、父を想うのだろうか。
私が子供の頃は、高度経済成長の終盤くらい。父は仕事が忙しくて、一緒にキャッチボールした記憶があまりない。グローブも私が買ってもらったものしか家に無かったし、そのころから私は団体行動が苦手だったので、少年野球にも参加しなかったから、野球そのものに縁が無かった。むしろ、母が参加していたママさんバレーに興味があり、その影響でバレーボールをやるようになったとも言える。今となっては、そんなものだろうか。
結局のところ、ハリウッドの名作は、野球というクラシカルなスポーツに収束しているのが面白い。
おそらくブラックソックス事件などがベースボール文化の底流にあり、『エイト・メン・アウト』や『フィールド・オブ・ドリームス』が描かれたのだと思う。
フィールド・オブ・ドリームス
1989年の作品。
間違いなくケビン・コスナーの代表作だと思う。
"If you build it, he will come." = 「それを作れば、彼が来る」という謎の声を聞いてから、この声に導かれるかのように大事なトウモロコシ畑を切り開いて野球場を作ってしまう主人公。
そこに球界を追放され"野球をやりたい"と願っていた"シューレス"ジョー・ジャクソン等、往年の選手たち(故人なのでみんな幽霊)が現れる。でも見ることができるのは彼の家族だけ。
その後、名選手ばかりではなく、大リーグに夢を馳せた男たちも現れる。その中には…
彼らがプレーを楽しむ野球場は霊会というか天国みたいなもので、現実世界との境界線(1塁線の先あたり)があり、彼らはそこを超えることはできない。
後半、バート・ランカスターが現れるシーンあたりから、涙の連鎖。グラウンドで夢を叶えた若き頃の彼が、主人公の娘を助けるために境界線を超えて老人に戻ってしまう。彼がトウモロコシ畑に消えるとき、一瞬振り返るシーンに胸がつまる。
そして、クライマックス。本当の"彼"が現れる。それは疎遠のまま他界した主人公の父。しかも大リーグを目指していた頃の独身時代の若さで現れるのだ。主人公は自分の妻と娘を紹介するが、娘の手前、自分より若い父を「パパのお父さんだよ」と紹介できないシーンもとても良い。
その後の親子のとめどない会話。父の「ここは天国なのかい?」という問いに対する息子の「アイオワだよ」「でも天国なのかもしれない」という実感。そした父とのキャッチボール。
この映画、そして次に紹介する『ナチュラル』も主人公を支える女性の圧倒的な"理解"と"支え"なしでは成立しない作品である。MVPは奥さんである。
ナチュラル
1984年の作品。
いわゆる"オールド・ルーキー"が起こす奇跡を描いた作品。
かつてのNHK教育テレビで放送されていたのを見て感動、当時、VHSビデオを購入。
封入のライナーノーツには、ブラックソックス事件を裏テーマにしたファンタジーであるような解説が書かれていた。
大リーグからスカウトされて意気揚々と都会に向かう若き主人公が、あるきっかけで凶弾に倒れて姿を消し、その後再びグラウンドに立ったのが35歳…。弱小球団に入った彼がスラッガーとしてチームを優勝に導いていくファンタジーである。
この作品は、やはり3人の"女"ですね。若き彼の輝かしい未来を奪った謎の黒衣の女(バーバラ・ハーシー)、球団の実質的支配者をパトロンとして彼を篭絡しようとする美女(キム・ベイシンガー)、そして彼の幼馴染として登場する彼の良き理解者(グレン・クローズ)。2人に誘惑されつつ、自分を良く知る1人に最後は救われる。
凶弾を受けたときの古傷が再発し、チームが大事なところで活躍できない主人公。優勝を賭けた最後の試合、グレン・クローズが彼に託したメモで奇跡は起こる。
主人公は、大リーグにスカウトされて故郷を旅立つときにグレン・クローズと結ばれるのだが、その時に男の子を宿していたのである。無論、主人公はそんなことを知らないのだけれども、大事な最後の試合でそのことを知って、奮起して息子の前で大逆転ホームランを放つ。
スタンドの照明が弾けて、塁を回る主人公の印象的なシークエンスの後に、そのまま親子のキャッチボールのシーンにつながる。主人公は大好きだった父との思い出を自身が父親となり、取り戻すのである。
かなり前に、中古の映画パンフレット市で違う作品(確か『三匹荒野を行く』)のパンフを買ったときに、『ナチュラル』のチラシが挟まっていたので嬉しかった。そんな想い出もありました。
異人たちとの夏
1988年の作品。もうすぐ30年ですね。
Blu-ray版のアート(右)が個人的には好きではないので、DVD版(左)も載せてあります。この作品の良さは、DVD版のアートに集約されています。
12歳の時に両親と死に別れた主人公(風間杜夫)が、当時のまま、死んだはずの若い両親(主人公は40歳になっていて、両親は自分より若い)と出会い、触れ合うファンタジー。
江戸っ子の父親(鶴太郎)がいなせで、俳優として片岡鶴太郎の代表作と言える。秋吉久美子も艶っぽくて母親と女の両面をうまく醸し出している。
妻とも別れて、子供の親権を奪われ、妻は自分の仕事仲間と再婚しそうな境遇の孤独な主人公に訪れた"心温まる"ひと時。
主人公は父親とキャッチボールしたり、母親とアイスクリームを作ったり童心そのもの。
両親との触れ合いは、感動的でラストの今半のシーンは、何度観ても泣いてしまう。
主人公の両親に言う言葉。「今は、こうして親孝行ずらしているけど、2人が生きていたら大事にしたかどうか知れやしない…。2人がどれだけ立派か、温かくて驚いたよ。」と心から言うシーンは、グサッときます。
それに対する両親の優しい言葉。泣けますね〜。
大林宣彦の作品の中でも好きな1本に入りますが、彼特有の理屈っぽさみたいな部分もこの映画にあって、その象徴が名取裕子とのシークエンス。ここをもっと抑え目にしておいてくれたら、もっと良い作品だったのかもしれません。DVDで観るときは、名取裕子のシークエンスは飛ばしてしまいますから…。
主人公の両親に対する優しさと彼女に対する冷たさ(最初のシーン)のコントラストを描きたかったのだろうけど、やりすぎ感はありました。
なのでBlu-ray版のアートは、この作品が好きな人に対しては、アプローチが失敗していると思うのです。
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