
今年ももう半分が終わってしまいました。1月の網膜剥離による入院から始まり、新型コロナウイルスによる"自粛慣れ"の流れの中で、結局、映画館に行くことはありませんでした。ただこれから観たい映画は何本かあるので、今年の後半に挽回したいと思います。TVではここのところ私の大好きな法廷もの作品を何本かオンエアしていました。中でも国内ではブルーレイ発売されていない『情婦』のHD放送があり心躍りました。
情婦 / WITNESS FOR THE PROSECUTION (1957)
1957年作品。アガサ・クリスティの短編『検察側の証人』の映画化。法廷サスペンスとしては最高峰と位置付けられており、まだ観ていない人には絶対おすすめです。映画のエンドロールに出てくるように「結末は誰にも教えないでください」というくらい、ひっくり返るようなエンディングが待っています。ピッタリの配役と秀逸な脚本が見事に融合した作品で、やはり法廷ものは脚本が命だと再認識させられます。病み上がりの老練な弁護士(チャールズ・ロートン)と付き添いの看護婦(エルザ・ランチェスター)のコミカルな掛け合いが絶妙で、スリリングなストーリーを側面からコメディリリーフ的に支えています。この2人は実生活でも夫婦とのことなので、納得です。"検察側の証人"となるマレーネ・ディートリッヒの怪演が見事。私は彼女を初めて知ったのが映画『悪魔の手毬唄』の中で出てくる映画『モロッコ』(1930)のシーンです。映画の中の映画が出会いでした。弁護士(チャールズ・ロートン)の放つ言葉が、この作品におけるすべてを物語っていると思います。
"正義のハカリは元に戻り、いずれ君は償うことになる"
"あの方"に贈りたい言葉です。
レインメーカー / THE RAINMAKER (1997)
シネフィルWOWOWでオンエア。『ザ・ファーム 法律事務所』『依頼人』『ペリカン文書』などでおなじみ、ジョン・グリシャムの『原告側弁護人』が原作、フランシス・フォード・コッポラが映画化。若き弁護士が保険金未払い事件を巡り、大手保険会社に戦いを挑むお話。135分と長めの作品ながらとてもテンポよく作られています。
やっとのことで就職口を見つけた法学部卒業生(マット・デイモン)、その就職先は悪徳弁護士ブルーザー(ミッキー・ローク)の事務所でしたが、ブルーザーに逮捕状が出て身を隠してしまったため、主人公は補助者(ダニー・デビート)と小さな事務所を立ち上げて、保険金未払いの案件を受任します。相手は大手保険会社で優秀な弁護団を編成、この段階で勝ち目はかなり薄く裁判は劣勢を極めたのですが、人権派の判事(ダニー・グローバー)に交代したことで一転、自らに流れを引き込むことに成功します。この作品は、脇を固めるキャストが良いです。主人公の補助者として八面六臂の活躍をするダニー・デビート、相手方弁護士チームのトップ、ジョン・ボイト、逃亡先から裁判を進めるうえでキーとなる判例を教えてくれるミッキー・ローク、優しさとフェアネスに溢れる判事のダニー・グローバーなどなど。映画は、日本の判決文を読み上げるスタイルより、陪審員が評決の結果を伝えるシーンの方が、スリリングで躍動感を感じます。
古畑任三郎 2nd season『しゃべりすぎた男』(1996)
日本映画専門チャンネルでオンエア中。大好きな"古畑任三郎"シリーズの2nd season 第1話『しゃべりすぎた男』は法廷ものです。ゲストの明石家さんまから"アドリブ"による演技と"法廷もの"という強い要望によるエピソードだったという逸話があったそうですが、どうやら田村正和とは揉めたようです。記念すべき1st season 第1話の犯人である小石川ちなみ(中森明菜)を後に裁判で無罪にした敏腕弁護士が小清水潔(明石家さんま)であり、彼の策略により部下の今泉慎太郎(西村雅彦)が犯人に仕立て上げられ、今泉を救うために彼を"友人"と思う古畑が奮闘するストーリー。法廷での古畑任三郎は、さながら陪審員(ここでは視聴者ということになるのでしょう)に向かってアピールする検事 or 弁護士のようです。法廷劇は時に非現実的なところもありますが、観ていて爽快感溢れるエピソードとなっています。
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