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・トップリーグ規約と独占禁止法に関する報道について


 今般、一部メディアにて、公正取引委員会が日本ラグビーフットボール協会から聞き取り調査を行い、トップリーグ規約が独占禁止法に抵触する不当な制限にあたるかどうか検討を始めた、との報道がなされました。

 トップリーグとしましては、トップリーグ規約等に則り、リーグの運営を行ってきているなかで、ラグビー分野における人材市場の実態について知見を伺いたいとの公正取引委員会からの要請に応じ、規約等の情報提供の協力をした事実はごさいますが、これらが不当な制限にあたる可能性があるとの指摘を受けたり、そのことについて調査を受けたとの事実は無いことをここにお知らせいたします。

 しかしながら、トップリーグ創設以来、15シーズン目を迎える現在、ラグビーのみならず、スポーツ界を取り巻く環境は大きく変化してきているのも事実であります。トップリーグとしてもラグビーワールドカップ2019日本大会の開催及びその先のラグビー競技の発展を目指し、日本でNo1の価値を持ち、世界に挑戦するスポーツリーグを目指すとの方針のもと、様々な面での検討を重ねてきており、その中で規約等についても、時代に即したものとしていく考えであります。

 トップリーグファンの皆さまのご理解を頂きたく、よろしくお願いいたします。

高島正之 ジャパンラグビー トップリーグ チェアマン
独禁法は守備範囲が広いので、どの条項に該当するのだろうか?
まず一部メディアと指摘されているのは、下記のNHKの記事の事だろうか。
・ラグビー トップリーグの移籍制限 公正取引委員会が調査

 ラグビーのトップリーグがチームを移籍した選手の公式戦への出場を制限する規約を設けていることについて、公正取引委員会がトップリーグを主催する日本ラグビー協会から聞き取り調査を行い、独占禁止法に抵触する不当な制限にあたるかどうか検討を始めたことが関係者への取材でわかりました。

 ラグビーのトップリーグは選手がチームを移籍した場合、前の所属チームの承諾が得られなければ、1年間、公式戦に出場できないとする規約を設けていて、日本代表クラスのトップ選手が移籍先のチームで公式戦に出場できなくなったり、移籍を断念したりするケースが出ているということです。
 このため公正取引委員会がトップリーグを主催する日本ラグビー協会から聞き取り調査を行い、こうした規約が独占禁止法に抵触する不当な制限にあたるかどうか検討を始めたことが関係者への取材でわかりました。
 公正取引委員会はラグビーなどスポーツ選手の移籍のほか、芸能人の所属事務所からの独立や移籍をめぐるトラブルなどについても調査を進めていて、来月から有識者による会議を開き、独占禁止法に抵触するような実態がないかどうか調査結果をまとめることにしています。

トップリーグの規約とは

 ラグビーのトップリーグの規約では選手の移籍について前の所属チームを退部し、トップリーグのほかのチームに移籍した選手は移籍から1年間、公式戦に出場できないと定めています。
 しかし前の所属チームが「リリースレター」と呼ばれる「移籍承諾書」を発行した場合には、直ちに公式戦への出場を認めるとしています。
 関係者によりますと試合への出場機会や待遇の改善を求めて移籍を希望する選手が、「リリースレター」が発行されなかったことで移籍を断念するケースは相次いでいるということで、最近も日本代表レベルのトップ選手の移籍を認めるかどうかをめぐってトラブルになっているということです。

畠山健介選手「ラグビー界にマイナス」

 トップリーグの所属選手などでつくる「日本ラグビーフットボール選手会」の畠山健介代表理事は「前の所属チームからリリースレターが発行されず、1年間、試合に出場できなかった選手は周りにも何人かいた。ラグビー選手の競技人生は決して長いものではないので、1年間のブランクは非常に大きく、パフォーマンスの低下にもつながる。今の規約はラグビー界全体にとっても大きなマイナスだと思う」と話しています。
 そのうえで「2年後に日本で開催されるワールドカップになんとか出場したいという思いで、プロとして契約したりチームを移籍したりして環境を変えたいという選手は多くなっている。今の時代だからこそ制度を変えていかなければならないと感じている」と話しています。

畠山健介選手とは

 畠山健介選手は宮城県気仙沼市出身で、早稲田大学を卒業後、トップリーグの強豪サントリーでフォワードの中心選手として活躍しています。
史上初の3勝を挙げた前回のワールドカップでは日本代表として攻守に活躍しました。
ことし5月からはトップリーグの所属選手などでつくる「日本ラグビーフットボール選手会」の代表理事を務めています。

日本ラグビー協会「見直しを検討」

 移籍した選手の公式戦への出場を制限する規約を設けていることについてトップリーグを主催する日本ラグビー協会は「トップリーグは企業スポーツであり、社員選手の引き抜きやそれに伴う費用の高騰を防ぐために規約を設けている。しかし移籍そのものを禁止している訳ではなく、前の所属チームと移籍先のチームが合意すれば試合への出場が認められる」としています。
 そのうえで「規約とはいえ、選手が1年間、試合ができないことは、チームはもちろん、ラグビー協会にとってもマイナスだと認識している。移籍に関する規約についてトップリーグ内で見直しを検討している」としています。

専門家「新しい制度設計を」

 スポーツをめぐる法律の問題に詳しい同志社大学の川井圭司教授は「日本のラグビーはもともとアマチュアリズムを前提に発展してきた。選手はチームを運営する企業の社員として終身雇用が前提で第1に仕事、第2にラグビーという位置づけだったので、企業がみずから育てた選手の移籍はできるだけ避けたいという考えで今の制度が維持されてきたと思う」と話しています。
 そのうえで「日本のラグビー界でもプロ化が進み、野球やサッカーのようなプロ選手とこれまでのような社員選手が共存する独特な形になっている。少なくともプロ選手の移籍を制限することは法的に違法・無効と判断される可能性が高いと思う。選手やチーム、それにラグビー界全体の利益につながる新しい制度の在り方を考える時期に来ている」と指摘しています。
今年は、確かに選手の移籍が例年より目立った感じはしました。
明治大学ラグビー部OBの田村兄弟の移籍をはじめ、シーズン終了直後に発表というより、新シーズンスタート直前に突然発表されるケースも散見された。
独禁法に照らし合わせてみて、今回の件はどの条項にあたるのだろうか?
ざっくり7つの禁止事項や規制に当てはめると「事業者団体の規制」にあたるのかな?
独占禁止法第8条では,事業者団体の活動として,事業者団体による競争の実質的な制限,事業者の数の制限,会員事業者・組合員等の機能又は活動の不当な制限,事業者に不公正な取引方法をさせる行為等を禁止しています。
つまり、選手の移籍後のプレー環境、具体的には公式戦への出場を制限するという規制が問題であると指摘していると推測できるかもしれない。
NHKの記事に「芸能人の所属事務所からの独立や移籍をめぐるトラブル」についても公取が調査するとのことも書かれているが、芸能人と同列に考えてよいものだろうか。自分の腕一本で稼ぐという観点からは広義ではどちらもプロフェッショナルな世界だが、芸能人の場合、著作者人格権とか色んな権利も本人にくっついて移動してしまうおそれがあり、ブレイクまでの投資や将来の損失の程度を考えると単純にスポーツと比べるのは難しいのではないだろうか。
トップリーガーは、ラグビーの特殊性もあり、プロ契約の選手もいれば企業の社員の選手もいる。「トップリーグのほかのチームに移籍した選手は移籍から1年間、公式戦に出場できない」という規定があるが、「前の所属チームが「リリースレター」と呼ばれる「移籍承諾書」を発行した場合には、直ちに公式戦への出場を認めるとしている」との事である。双方で合意すれば出場できるわけだ。
ただし、出ていく選手が「移籍承諾書」を発行してもらえず"仁義を切って"1年間我慢して公式戦でプレーしないか、送り出す側が広い心で「移籍承諾書」を発行するのか。それぞれによって事情が異なる。実際に出られなかった選手もいるとの事だ(上記、畠山選手のコメント)。
自由競争を阻害している規定とも見えるが、プロ野球のようにドラフト制度的な戦力均衡化の制度も存在しないし、トレードのような形も制度化されていない。ここがプロフェッショナルスポーツではなく企業スポーツたるゆえんだと思われるが、このままだとトップリーグの上位チームが新卒の有望選手を多数獲得し、かつ移籍で更に補強するという流れが加速することも考えられる。
トップリーグの上位チーム=日本を代表する安定した大企業かつチーム強化に積極的(投下予算が大きい)、というパワーゲームで選手の獲得がなされる側面があり、国内だけでなくここに外国人スタープレーヤーの獲得が更に上乗せされるから、これが現状を超えてエスカレートすると、将来的には、強いチームがますます強くなり、番狂わせの少ないスポーツであるラグビーの面白さを棄損しかねない事態にもなる可能性がある。
そうなるとチームの強弱がより鮮明となって、今の「3部制」のようなリーグ構造は存在し得なくなるのかもしれない。下位のチームは強化をして上を目指していくという目標は困難になる。
自由な選手の移籍が、チームを活性化させて強くなるという一方、社員として採用している企業は、引退後の選手の人材育成も含めて終身雇用的な投資をしているケースもあり、突然移籍されたらロスが発生するというリスクが生じる。だからと言って移籍先で1年プレーを禁止すればそのロスが補填されるわけでもない。プロ野球で言うところの金銭的補償、人的補償をラグビー界はどのように考えるのだろうか。
また企業が母体のトップリーグは、東芝問題のように母体企業の存続が揺らいで、結果チームの存続問題に関わる危機がひとたび起これば、選手の移籍マインドに拍車がかかってしまう。
甚だ難しい問題である…。
プロスポーツである以上、移籍はある程度自由であるべきだが、現状、どうしても強いチーム(チームとして強く、企業母体としても安定している)に有望な選手が集まりやすい。そうなるとはじき出される選手が出てきて、ラグビーを続けたければ、下位のチームや下位のリーグに"都落ち"していくしかなくなる。結果、上位と下位の実力差が更に開いてしまう可能性がある。
チームとしての独立採算制も含めて、抜本的な改革が必要な時期に来ているのかもしれない。