
新年1月2日の大学選手権準決勝での敗戦にはじまり、12月11日の大学選手権3回戦で早くも姿を消した明治大学ラグビー部。
皮肉にも今年掲げたスローガン”MUST WIN”とは真逆の結果に終わった2016年。
カレンダーイヤーでの明治ラグビーの1年を振り返る。
�� "MUST WIN"をスローガンに、「勝ち切る」チームを目指した1年
丹羽監督の4年目。BKコーチに新たに池田渉氏を招聘。
戦力的には、前年のレギュラー陣を占めていた4年生が卒業したことによって大幅ダウンは明白だった。FWでは、植木・中村・須藤・東・小林・上田・松橋・田中(健)、BKでは田村・斎藤・紀伊等が卒業。特にFWの主力選手の大量卒業は、先発8人の総入れ替えに近いインパクトだった。ここをどう立て直して、戦力を整えていくのか、大きな課題を抱えてのスタートとなった。逆にBKは、梶村、尾又、成田、堀米等経験者が残り、そこに山村、矢野等高校日本代表クラスの1年生が加わり、戦力としては充実。怪我さえなければ、BKは大学チームの中では屈指のメンバーが揃ったと言える。
常翔学園(大工大高)出身、1年からレギュラーを経験している桶谷を主将に指名、副将に成田。3年/4年の2学年で近藤/兵頭、古川/梶村とFW/BKリーダーとして任命したのが今年の特徴。
スローガンの"MUST WIN"。お正月の準決勝、不運な怪我と局面でのミスで、勝てる試合を落としてしまった悔しさから、その壁を超える意味でつけたのだろうか。スローガン自体は悪いとは思わないが、“MUST WIN”のために必要な”How”=具体的な戦略があまり語られないままシーズンに突入したように思えた。結局のところ、監督の任期などの問題もあるのだろうか。明治の監督の任期は、ここ20年で見ると2年か4年が多い。長く任せてもらえれば単年度の目標と合わせて中長期的な視点でのチーム作りや目標設定もできるが、今の明治のスタッフの契約スタンスだと、「毎年、大学日本一が目標」というお題目が前提にあって、それが結果として、単年度の目標になり、やや後付け的にチーム強化の具体策を決めていくということになってしまうのだろう。
春先、S&Cコーチが刑事事件によりチームを去った。この世界では、実績の高い方だったと聞く。明治としては、チームのムードとS&Cの観点からも痛手となった事件だった。
��関東大学春季大会〜招待試合〜夏合宿
明治はAグループで2勝3敗の4位。この成績は、昨年度と同じ。
帝京、東海、流経の上位校に敗戦。筑波と中央に勝利。
招待試合は、早慶、同志社にしっかり勝って、それなりにチームはまとまってきた。ただ、FWの戦力ダウンを補うはずのBKでレギュラー候補の成田、堀米、忽那等が怪我で離脱。FWも個々のパフォーマンス分析上、多くの選手を起用して試していたと思うが、なかなか先発陣が固定できなかった。個人的に期待していた2年生のFW陣。U-20参加組や高校日本代表(候補)の面々である斎藤、船木、外岡、船橋、小宮等が対抗戦に入って先発に残らなかったのが残念。
夏合宿は、大東大に勝利。天理と東海に敗戦。
�B亶垣�3位
序盤、怪我で復帰できなかった堀米の穴を松尾、成田の穴を山村、渡部、高橋(汰)がカバー。
特に1年生WTB山村、FB高橋(汰)は魅力的なアタックとランを魅せた。
序盤〜中盤のヤマとなった筑波戦、慶應戦を見事に逆転勝ち。大学選手権の出場枠の観点から、筑波戦の逆転勝利は大きかった。2試合ともに山村の快走トライが印象的だった。
慶應戦は、”エキサイティング”な試合という位置付けでは、個人的には今年の明治のベストバウトだったと思う。前半の戦い方の悪さやプレー選択という面での反省点はありながらも、ロスタイムの約10分間をミスなく攻め続けての逆転勝ちは見事でした。応援したファンもアドレナリンが出ただろうし、チームとしてもある種の”成功体験”が刷り込まれたのではないだろうか。
ただ、この試合に勝った”成功体験”が、この後の試合に生かされたかどうか。残念ながらこの後、選手権まで3連敗をして結果的に終戦となってしまったということは、慶應戦がひとつの分岐点となったのだろうか。帝京戦は、力の差を感じながらも、80分間しっかり戦ったと思う。惜しむらくは、キックオフのリスタートプレーの精度の差だったと感じた。
早稲田戦、京産戦はWTB山村の使い方、局面でのプレーの選択(PGかトライ狙いか等)などブレが見られた。いずれもラストプレーは、慶應戦の時と同じシチュエーションだったが、意思決定と意思統一の面からは、チームとしてはまとまりを欠いていた。
早稲田戦は、明治は必ず勝つべき試合だった。対抗戦で日体大が早稲田を追い詰めた理由、慶應が早稲田に勝ち切れなかった理由を分析して考えれば、戦い方はシンプルだったはず(同志社は選手権でしっかり生かしていたのだが)。ところが明治は、「伝統の一戦」だとか「相手スクラムにやられないように」などと自意識過剰になって、相手の土俵でラグビーをした。結果、最後はプレー選択の判断まで狂っての敗戦。あの時は、ペナルティを得た時点で、しっかり円陣を組んで決めるべきだった。意思統一してのFW攻撃だったら、問題なかっただろうし、PGを選択しての失敗でも観ている側は納得した試合だったはず。なので、とても残念だった試合。"MUST WIN"に綻びが出た瞬間だったのかもしれない。
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毎年の如く、私が望むのは、Aに近い戦力のジュニアチームを作ってもらいたいということ。素材の面から見れば明治はそれが可能だからだ。
ただ今年は、怪我人の関係なども影響したのだろう。メンバーが固定せずに、カテゴリー1で3位、決勝トーナメントでは東海に負けて準決勝で敗退。春の戦績から比較すると、ジュニアは秋に向けて失速した1年だった。
来年は、ジュニアチームのポジショニングをより明確にして、強化してもらいたい。
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今年から1発勝負のトーナメント方式に戻った。また出場枠の減少、シード枠の創設など、これに関わる前提としての対抗戦の戦い方、順位の狙い方など戦略が必要だった1年。
その視点からみれば、明治は戦略を誤ったというべきだろう。「対抗戦3位枠」は明治にとって、歴史的には鬼門。対抗戦での総合的な戦績から見れば明治2位、早慶が3-4位で明治は2位枠をしっかり確保するべく、それに対応した戦い方が必要だった。それが早稲田戦で破たんして、そのマイナスムードを克服することなく3位枠で京産大戦を迎えることになった。
この試合も戦い方の選択という面で、前半開始早々の入りの良さを保てず、前半途中から相手の土俵で戦った感が強い。ここでも早稲田戦と同じくスクラム対策にこだわりすぎた。ファーストスクラムで明治が押し込んだイメージを最後まで持ち続けることができず、早稲田戦のときもそうだったが第一列のメンバー交代のタイミングや判断などがかなりブレていたように思えた。
皮肉にも、主将・副将が復帰した早稲田戦以降、FW/BKの攻撃のバランスなどチームのまとまり方に微妙な変化が起きていたのが残念だった。
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個人的には、今年のチームは「2013年の再来」と思っていたくらいなので、十分健闘したし、FWのコンパクト化を補ったFW/BK一体の攻撃も好きでした。しかしながら「あと一歩」の壁を越えられなかった。惜しい…。
明治は、対抗戦では定期戦的位置づけの慶應戦、早稲田戦にピークを合わせてしまうきらいがあり、大学選手権でピークを保つのが難しい環境を作り出している。このあたりをどう改善していくのか。
選手権枠や制度の問題も考慮すれば、筑波〜慶應とまずは勝って、帝京と1位を争うという形までは作れているので、あとはコンディションとマインドセット、そして今年の課題となった「怪我人の問題」あたりでしょうか。
��来年に向けて
京都産業大学A戦を終えて
丹羽監督のコメントですが、「1年間を通して、明治の形というのをぼやけたまま進めてしまった」とあります。
言い換えれば、"MUST WIN"の具体策を見いだせないまま、シーズンを過ごしてしまったということでしょうか。
もしその背景に任期の問題や練習環境の改善が希望通りに叶えられなかったというようなことがあるなら、もういい加減その障害を取り払うべく関係者がサポートしてもらいたいと思います。
最後に、個人的な思いですが、「名監督は、強い個人の集合体を作ることができる人物」だと考えます。「強い個人」は、本人の努力も必要ですが、個々の力を引き出すべく適切な指導が必要です。ここ20年近く、明治は人材の育成、活用がまだまだ不十分で、損をしていると思います。
2009年以降、吉田監督〜丹羽監督下でかつての暗黒時代の低迷は脱することができたと思います。あとは勝ち切るための「強い個人の育成」そしてその個人が結集した「強固な集合体」としてのチームを完成してもらいたいと思います。
選手、スタッフの皆様、今年1年お疲れさまでした。
来年も変わらず期待しています。応援もします。
(※文中の固有名詞(選手名等)は敬称略とさせていただいております。)
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